関所とは
関所とは
街道の要所に置かれた防衛上の施設で,箱根の関所や新居の関所などが有名です。 幕府が設置した関所だけで全国で50か所以上にのぼります。
また幕府が設置したもののほか,藩によって設置されたものもありました。 幕府は藩が勝手に関所を作ることを禁止していましたからそんなものはないはずなのですが,実際は番所・口留番所などと呼ばれる関所的な機能を持つ施設が藩境などを中心に作られていました。 加賀の前田藩が設置した「境関所」などは堂々と関所を名乗っています。
関所の役割
幕府の関所は江戸の防衛,つまり入鉄砲(武器が江戸へ持ち込まれること)と出女(江戸に人質として置かれている大名の妻が脱出すること)を防ぐことが最大の目的でした。 しかし時代が下がるにつれてそういう軍事的性格よりも,不審者のチェックなど警察的な性格が強くなっていったようです。
手形
関所を通るためには手形が必要でした。手形には往来手形と関所手形の2種類があります。
往来手形
今で言うパスポートです。 男性の場合はこれがなくても吟味(取調べ)を受けて不審点がなければ通過できましたが,面倒を嫌って手形を取るケースの方が多かったようです。 芸人や僧侶などは手形なしで関所を通行していました。 不審とはみなされにくい職業だった,ということでしょうか。
往来手形については武士は自分の所属する藩庁に,庶民は町や村の役人や菩提寺に申請していました。 庶民にはなかなか許可が下りなかったという話もありますが,実際には参詣や湯治という名目ならほぼ許可がおりていたようです。 例えば伊勢参りで往来手形をとって実際は四国の方まで観光したり。 伊勢参りが大流行したのはこの辺りにも理由があるのでしょう。
関所手形
しかしその一方で女性の場合は非常にハードルが高くなり,往来手形に加えて関所手形が必要でした。 別名証文・切手とも。 これは今で言う通関許可証で,女性の他には武器・乱心者・手負の者・囚人・首・死骸などでこれが求められていました。
手続きは非常に煩雑で江戸在住の女性だと幕府留守居,西国在住だと京都所司代などに発行してもらう必要があります。 聞いただけでうんざりしますね。
手形には人相や体型などを記した証文が必要で,関所でも証文と人相が合っているかなど事細かく調べられるなど大変厳しかったようです。 そのために関所には改女(人見女とも)という人相や身体特徴を確認するための専門職がいました。 これらの特徴が合っていないと関所手形の取り直しを求められ関所を通ることはできません。 実際にそういった記録も残っています。
関所破り
関所を通行せずこっそり近くの山を越えたりすれば死刑でした。 しかし実際に処刑された人はそれほど多くはなく,多くは「道に迷った」ということで処理されています。 意外とゆるい面もあったようです。